2023年度公募助成 選考結果のお知らせ

2023年度公募助成選考結果を公開しました。
採択者一覧は「助成事業アーカイブ」をご覧ください。

|総評|

2023年度公募助成に対して、「創造活動助成for U30」は14件、「スペース助成」は13件、「創造的場づくり助成」の「A.大阪府内の創造拠点助成」は15件、「B.ネットワーキング助成」は19件、合計64件の申請がありました。

「創造活動助成for U30」の選考では、大阪で活動する若手を育成するという趣旨のもと、<大阪の創造環境向上への寄与><独創性><実現性><波及効果><助成の必要性>の観点から審査を行い、3件を選出しました。「スペース助成」の選考では、上記に加え、造船所跡地という場の魅力を引き出す活動かを加味して1件を選出しました。そして「創造的場づくり助成」の選考では、分野における潜在的ニーズに応え、他者の賛同が見込める活動かどうかを考慮し、4件(「大阪府内の創造拠点助成」1件、「ネットワーキング助成」3件)を選出しました。

本年は、美術関連の申請が最多の30件となり、次いで舞台芸術が16件の申請でした。そのほか、まちづくり、音楽、複合型、芸術教育、建築、生活文化、伝統芸能・文化財といった、幅広い活動分野から申請がありました。申請者が拠点とする地域別に見ると、大阪府内が32件、大阪府外が32件であり、大阪府外の地域では、東京都が12県、次いで京都府が8件でした。

全体を通して関東地方の若い世代の活発さが目立ちました。とりわけ、コロナ禍において厳しい状況が続く中でも、コレクティヴ(集団)としてその環境に適応しながら独創性のある活動を継続してきたことが高く評価されました。一方で、大阪府下をはじめ関西地方からの応募では、実績のある中堅のアーティストやスペース運営者からの申請が目立ちました。選考委員からは、活動の継続そのものが非常に厳しいなか、創造環境向上に貢献してきたことを重視する一方、世代を超えた交流や波及効果を期待する意見もありました。

また、美術、演劇等の各業界内でのリサーチやネットワーク形成を目的とした申請も増加傾向にあります。その中でも、制作者としての実際的な視点を持ちながら、創作集団内のハラスメントや労働形態といった構造的な問題に対し、活動分野や国境を超えたネットワークを以て解決に取り組む活動が見られました。今後、分野を超えた長期的な創造環境向上につながることが期待されます。

コロナ禍をはじめ、文化芸術をめぐる状況が目まぐるしく変わり続けるなか、独創性のある活動や創造環境の向上につながる活動に継続的に取り組む申請者の皆様に敬意を表するとともに、当財団としては、今必要とされる支援を見極め、いただいた声や意見を今後の助成事業に反映させて参ります。