Appeartus #1

申請者 小林 颯 #創造活動助成 for U30
《Appeartus #0》、パフォーマンス、ベルリン芸術大学(ベルリン)、2024年
《Appeartus #0》、パフォーマンス、ベルリン芸術大学(ベルリン)、2024年
《Appeartus #0》、映像インスタレーション、アートセンターBUG(東京)、2024年(撮影:本吉映理)
《dailylog》、映像、アートセンターBUG、2021-22年制作(撮影:本吉映理)
《つぎはぎの言語 / Space-in-translation》より、英語・中国語・日本語による多言語詩、2023年

活動内容/採択理由

東京を拠点に翻訳研究とクイアネスの観点から、アジア系移民のアイデンティティの流動性を主題とした制作活動を行う申請者が、大阪市内の日本語学校及び外国人が経営する自転車屋と交流を持ちながら自転車ラジオ及びポエトリーライディングの制作を行い、関西初個展を行う。制作内容の独創性、並びに大阪の創造環境の向上に寄与する点に鑑み、採択する。

申請者プロフィール

1995年生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。24年にベルリン芸術大学大学院アートアンドメディア科を修了。装置と映像を通じて、エクソフォニー(「母語の外にある状態一般」の意)の新たな語りの形を再考している。近作では、言語とアイデンティティの観点から、アジア系移民のアイデンティティの流動性を主題に扱う。主な個展に「ポリパロール」(アートセンターBUG、東京、2024年)など。


採択後の実施内容

Appeartusは、小林がこれまで制作してきた、唇の像を投影する装置群と映像のシリーズです。同作において、小林は、自作の自転車型装置でのサイクリングを通じて、走行中に発した言葉から詩を作る「ポエトリー・ライディング」を実践してきました。本作(#1)では、大阪・大国町のベトナム系住民らが働く自転車屋「XE ĐẠP TRỢ LỰC OSAKA GIÁ RẺ」に焦点を当て、同店でのインタビューと、大阪・大和川でのポエトリー・ライディングを通じて、彼らの個人的な移動の言葉を収めます。そして、断片のような彼らの言葉から、<移動>を主題に一篇の詩を紡ぎます。

大国町駅を降りると、至るところにベトナム語の看板が見えます。食品スーパーやカフェを始め、そこにはベトナム語と日本語が併記されています。少し歩くと、自転車屋「XE ĐẠP TRỢ LỰC OSAKA GIÁ RẺ」があります。直訳すると「大阪の格安電動アシスト自転車」。その自転車屋は、ベトナム人店主のグエンさんによって経営されています。彼はベトナム北部・ハイズオンの出身で、2020年から友人たちと自転車屋を始めました。グエンさんいわく「五年前を境にベトナム系のお店が増えた」といい、「ここはベトナム人が来る一時的な場所」といいます。私はグエンさんに、自転車屋で、そして大和川のほとりで、彼の<移動>について話を訊きました。そうやって、私たちの言葉は詩になり始めました。

彼らの生活する世界では、「祖国との関係性」という内側の特性と、「日本の非移民社会性」といった外側の特性があり、その摩擦によって不安定性*が生じます。この不安定性は、彼らの言葉にどう反映されているのでしょうか。彼ら―私たちは、その言葉をどのように捉えることができるのでしょうか。

* 川上郁雄「越境する家族 在日ベトナム系住民の生活世界」、明石書店、2001年、p.230

<開催概要>
会期:2026年2月14日(土)~23日(月・祝)
会場:千鳥文化ホール
時間:11:30~18:00
入場:無料
助成:大阪市、一般財団法人おおさか創造千島財団
協力:一般社団法人HAPS、XE ĐẠP TRỢ LỰC OSAKA GIÁ RẺ
https://hayatekobayashi.com